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ピノキオ幼稚園

撮影:はなファクトリー

 木造平屋建ての小さな幼稚園増築園舎です。木の質感を感じることができる建物にすることを求められ設計しました。

建物の最大の特徴は屋根の構造です。その最大の特徴である屋根木組の構造美を天井あらわしにすることで、子供にも木が組み合わさって出来ている建物である、と感じられる設計にしました。

1辺が四間(7.28m)の正方形プランで、対角線長さは約10.3m、軒に突き出ている部分含めると約66㎡の巨大な屋根の下にある離れの一部屋です。大きなスパンですが、一般的に流通している寸法の材料を使用した構造計画とし、建設コストを抑制しながら室内無柱空間を実現しました。また、天井を屋根の裏側とすることは意匠的ポイントとなるだけではなく、天井工事が不要となるため建設工事コスト削減にも寄与します。

四隅から斜めに立ち上がる隅木が集約する部分にある部材(芯束)は、見上げた姿がかぼちゃのへたに見えることから、かぼちゃ束という呼び名が付けられています。

外壁は三方をウェスタンレッドシダーを下見板張りとし、室内外問わず木の質感を感じることができます。ポーチ部分の外壁は、子供たちが触りながら歩いて木の棘が刺さることが無いように配慮し、屋根と同じグラスファイバーシングル材料としました。

出入口は木製引き戸とし、こちらは積極的に触れて木を感じることができます。この建具は左右に引き分け、袖壁部分に6枚の引き戸全てを収納することができます。全ての戸を開け放つと、室内外が一体となった開放的な空間と変化します。スライド網戸を出して使えば、気持ち良い風を満喫できる空間になります。また、扉を全て閉めた状態、全て開けた状態で、戸袋と額縁枠が一体となるように設計しました。

建物配置は、既存の樹木を伐採しない位置とし、幼稚園のシンボルでもある巨大な樹木群を尊重しています。また、既設園舎の遊戯室への日当たりやそこからの視界をシミュレーションして計画しているので、新しく出来た建物ながら、周囲に対してとても自然におさまっています。

子供たちがグングン成長するように、この建物の木の部分も経年変化により味わい深い色に変化していくことが楽しみだと建主様も仰っていました。

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